●2009年05月31日(日)
本真綿隼人紬 本場結城紬より、少し細く紡いだ手紡ぎによるほとんど撚りの掛かっていない真綿糸を用いて織り上げた、先染めによる諸紬(原料の全て、経緯糸が真綿糸)です。 確かに無地や縞は最も簡単な柄付けで、織工賃が低く設定されますが、横段となって顕われる織りムラが出やすく、それがもとで産地問屋でAB反扱いされることもあり、織手が敬遠する理由ともなっています。 通常投げ杼の手織は15センチ〜20センチ織る毎に経糸を緩めて織り機の手前に織り上がった生地を巻き取り、再び経糸をピンと張り直し織るという作業を繰り返します。このとき、経糸の張り具合が変わると織り上がった生地に横段となって織りムラが現れるのです。ほとんど撚りの掛かっていない真綿糸は湿度の変化により伸縮しやすく、経糸の張り具合に影響が出やすくなります。 それを無地の柄、生地の味わいとみないでAB反、またはB反する産地問屋さんもいるようで・・・嘆かわしいことです。 それに、万が一すこし気になる横段でも、仕立ての裁断でいかようにでもなることを 問屋、呉服屋、お客様もご理解いただければ、織手に対して大きな励みになると考えます。 この静粛な無地・・・織手にどれほどの緊張を強いるか・・・ こういう反物には凛としたものがあり、やわらかな真綿の中に強い意志を感じられるようで、とても好きです。白無地が美しいという理由はそういうところにあるように思います。 夏に向かうこの時期に何故に真綿ですか?と問われそうですが、本来は勿論、袷に仕立てをすることが多いとおもうのですが、このモノトーンな色、すこしライトグレーを感じる色、つまりノーシーズンな色彩を活かして、もうすこし早く春&秋単衣からはじまって、袷の間、すこしでも長く着用を楽しみたい気がしたのです。 さばきのことですか? 例の仕立て方があるではないですか! 例の裏地絹布があるではないですか! こういう反物は、単衣でも袷でも長く着用していただけると考えます。 つまりは、そういうことなのです。 それと・・・このつづきはお会いできた方に。
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