●2014年03月19日(水)
『稽古とは一(いち)より習い十を知り、十(じゅう)よりかえるもとのその一』 、、、、と始まる『なか志まや・一衣舎 二人展』の案内状なのですが、一衣舎さんは『仕立て技術の完成と伝承』であり、なか志まやは『古典に還る』としました。 なか志まやはたかが呉服の小売店ですので、上に書いた『利休の教え』に従うような技術的なことや、日々の稽古のような行いが自分の仕事に当てはまることはないのですが、なか志まやは美しいと思う着物を日々求めています。美しいというのは『動と静、古格と斬新、大胆と繊細』と言葉の響き合いが、自分が作る着物姿に感じられた時です。 5年くらい前に、はじめて仁平幸春という染色家に会い一緒に仕事をするようになって、なか志まやが取り合わせる着物と帯の組み合わせを『不協和音の使い方上手い!』と評してくれました。これを聞いて自分の癖と言いますか、自分の資質を自身で初めて掴んだように思います。わたしが美しいと思うものは『調和のある和音』でなく、少し雑味があるのです。その雑味の手加減が上手く行った時、なか志まやらしさが出て来るように思います。 そのために、古典をもう一度見直していく作業が、今までの十(じゅう)をもとにした、次のその一(いち)なんでしょう。 画像は、葡萄を題材にした文様。1つは3〜4世紀のコプト裂を題材にした帯。日本人と同じく多神教であった古代エジプト人の酒の神・ディオニュソス信奉の象徴が葡萄でありました。 現存するコプト裂は綴織りされたものですが、これは仁平氏による染め帯です。 下の画像は、江戸時代の小袖に刺繍されていた葡萄文を、色数を整理して西陣織したものです。コプト裂の葡萄の葉文様と、比較しみると面白いですね。 今度の二人展では、昨年とはまたひと味違うなか志まやをお見せ出来るのではないかと思います。毎年幾度に『少しかわったわね〜』とお客様に言われるのも楽しみの1つです。
『なか志まや 一衣舎 二人展』出品より 3月22日(土)〜25日(火)名古屋・月日荘にて
|