●2002年10月21日(月)
京都からのお客様 4年前に、無地感覚の立てぼかしという着物、帯など一式作って頂いたお客様が久々に 来店されました。東京から京都へ御結婚されてからお引っ越しされたので、お会いするのは本当にひさしぶりです。驚いたのは前よりもべっぴんになられたのではないか、と思えた事。もともと日本的なお顔だちのきれいな方でしたが、なんか若返った感じ。幸せな結婚生活をされているに違いないと思いました。 今回は来年のあるパーティーで立てぼかしの着物を別の帯にして御召しになりたいとのこと。前回の帯はかなりモダンな感覚にあわせたので(踊りをやられていた)、すこし格のある帯びあわせにしたいとのこと。三色の色糸で加賀縫いした紋も入っているので、ランクアップした装いにはちょうど好い具合。中島は綴れ、唐織、刺繍など様々な帯(古典的なラインを踏まえつつ、同系色な合わせになるもの)を御用意してお見せしました。 が、どれもそこそこ合うのですが、なにか物足りない。自分はかなり正直に顔にも口にもでるので『いまひとつ、ビッビッと来ない』と言ってしまいました。本来、この手の着物は帯びあわせにあまり苦労しないタイプで、お見せした帯がもし御自分がすでにお持ちの帯であるなら、どれを締めても全く問題なく合わせられる帯なのですが、新しく買って頂くとなると話は別。自分が納得いかない。問題はこのきものの地色。言葉で言えばライトグレーからグレイッシュなグレイにきれいに暈し足なしに染められたもの。大変ドレッシーな感覚のあがりが、同じグレーでありながら日本的なグレーに色を少し嫌がっているように見えました。 よく考えればこのグレーは、京都の故前田親男先生の色。合わないはず。中島の考えが甘かったです。なか志まやをよく御存知の方には馴染みのある名前かもしれません。お客様にはもう一度探し直すとお約束して、今度は中島が京都に行くつもりです。 お客様には、なか志まやの定番の宝尽し刺繍入りの襦袢をこのグレーに合わせて別染めする御注文を頂きました。袖口にある打ち出の小槌をたくさん振って頂き、これからも幸せにお過ごしになられますように。ありがとうございました。
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