TOP お知らせ 店主日記 よく遊べ 店舗のご案内 気っ風市 お問い合わせ

ある日のなか志まやの出来事、つれづれ

2013年05月の店主日記
[過去の店主日記一覧]
●2013年05月16日(木)

うす羽織

帯付き姿で歩くのは心もとない、、、という感覚はよく分かります。かといってこの時期に着物の上に羽織るものは、素材感、染め、文様、、共に非常に難しい。

着物は縫い締め絞りような文様を織り出した丹後のお召
帯は仁平幸春氏の日月帯
帯締 帯揚 羽織紐 和小物さくら

羽織にした反物は、経て絽にも似た素材ですが薄物の羽織用に織られた特別な生地に、黒と茶が解け合ったような市松がほのかに染まっています。角度によって初めて市松と気付く位に淡い濃淡で市松になっています。

着姿の前は、このように日月の文様が見えますが、特に期待したいのが後ろ姿。太鼓に染まった日月文が、この薄物の生地に透けてどのように見えるかです。

薄雲がかかったような景色になるのでしょうか、、、
早く着姿を拝見したいものです。

●2013年05月15日(水)

個展にむけて、、途中報告 『新作の月帯に。。。。実験的なきもの』


今回の仁平幸春展では着物も多く製作して頂いています。仁平さんの作品は帯がとても広く知れ渡っていますが、なか志まやは彼が染める着尺が好きです。仁平さんと最初の仕事は全面ロウムラという着尺でしたし、そのあとにも更紗の訪問着、トラ目染めなど文様を染めたもの、無地感覚のものなど、たくさん染めて貰っています。
その1つ1つが、モダンでも古典でも様々な帯を受け入れてくれる、汎用性の高い着物になっています。

画像のこの生地は、月帯の銀彩シリーズの新作帯にリンクする絵羽着物に染まります。
生地の地紋が少し分かるでしょうか。
この生地は、新作の月帯の生地とある関係性を持たせました。
そして、、、着物の色と柄。。。

今回の作品群のなかで、一番、仁平さんと相談したのがこの色と柄です。
だいたい決めるのが早い方なのですが、これは悩みました。

誂えの基本線は、ものすごいアバウトなことを僕が振って、仁平さんが具現化していくという作業なのです。この図柄の置き方は知識では持っていましたが、実践するのは今回が初めて。今でも良かったかなと不安もあります。

仁平作品というよりは、この着物はなか志まやのわがままを聞いてもらった感すらあります。ただ、そのわがままを受けて、仁平氏がこのように染めてくれる!そういう仁平氏の柔軟性も感じて頂ける作品になるはずです。

そして、、、実験的な絵羽ものですが、私は今の時代には、ありだと考えています。


●2013年05月12日(日)

今回の仁平幸春展、サブタイトルに『素材を開花させる』と付けました。
染色家・仁平氏の最大の特徴といいますか、彼が独力で到達したこの世界感は、どのような文様を描いても、例えその場に文様を染めなくても、一貫して貫かれている姿勢です。

この画像は、麻という素材、染料は 墨。その素材感を視覚化すること、そして、その生地が染められる前には観えなかった魅力を、染めることによって開花させるのが仁平氏の染色です。


●2013年05月10日(金)

今日のお支度

全面ロウムラ着物NO.6 仁平幸春作

全面にベッタリと「白ロウ」という染料を少し通すロウを置いてから上から染料を擦り込んだり拭き取ったりしてムラの味わいを出します。こちらはグレー基調で、酸性染料グレーを染めてからロウを置き上から黒を摺り込みました。
生地は赤城座繰り糸と真綿糸の紋織紬。幾何学の文様、非常に軽く柔らかい着心地です。

オーナメント小花九寸名古屋帯 勝山健史作

長野県飯島町にて養蚕から織りまで一貫制作、塩蔵繭を使用した帯は軽く艶やかな光沢を持ちます。締めてみていつも思うのですが太鼓のラインがとても綺麗に作れます。現代において、最高に美しい絹織物の1つだと思います。

平唐組帯締NO.23 皆可園・児島有子作

●2013年05月09日(木)

途中報告・仁平幸春展 出品作品一例 『墨と墨』

墨の刷毛目染めをした着物(苧麻糸入り麻生地)

崩し格子更紗を墨で染めた麻の名古屋帯

墨で染めた着物や帯は、身体の熱を奪ってくれそうな気がするのは何故でしょう。何か墨の効用があるかどうかは知りませんが、和的なこのモノトーンの組み合わせは、強い日差しの中でも涼やか印象を与えてくれそうです。


●2013年05月07日(火)

仁平幸春展〜途中のラフデザイン

24日からの仁平幸春展にむけて、仁平さんとのコンセンサスをとるのにパソコン上で決めることも多いです。仁平さんは染色というアナログな技法は勿論ですが、パソコンでのデーターの処理のしかたも私より長けており、簡単なやり取りからすぐにイメージ画像を送って来てくれるのです。

ここから着物には文様が入り、帯はより緻密になっていくのですが、大まかなラフデザインが決まれば仁平氏は、なか志まやの好みの染めを必ずしてくれます。
これまでの経験上それは確かなことです。
仁平幸春展 ”素材を開花させる” 
5月24日(金)〜28日(火)
ところ:きものギャラリー睦月 11:00〜19:00(最終日17:30)
睦月となか志まやの共催にて


●2013年05月06日(月)

仁平幸春展。。。5/24(金)〜28(火)

きものギャラリー睦月にて


なか志まやが発注している残りの作品、その全容が見えて来ました。着物や帯など、今回の個展総作品展数は25点。
その他に、染め紙 そめ布額、敷物、和小物など、呉服関係以外の作品も多数出品します。

仁平氏にはラストスパートをかけて頂いているのですが、2点程決まらないことがありまして、昼過ぎから悩んでいます。
とりあえず一枚で見れるようにして、なか志まや的バランスをとります。

今回の個展は時期的にも夏物が多く、これは今まで仁平さんが他のギャラリーや呉服店でやって来られた個展と大きく異なるのではないか思います。夏こそ着物の醍醐味!これは普段使いの着物の、その素材の豊富さにも依るのでしょう。
睦月となか志まやは、素材を吟味し、それぞれ、その素材にあった文様を染めて貰っています。
仁平さんの言葉を借りれば、、、

『素材とは、もちろん白生地のことでもあるし、絵柄のことでもあるし、発注者である睦月であり、なか志まやのこと』

『素材を開花させる、そういう染め物』

今日も変更がありました。特殊な生地感をより活かす為に、決めていた文様を止めて、あらたな図案に変更です。

5/25(土)、26(日)には、仁平幸春氏、甲斐凡子さんが睦月にやって来てきますので、どうか一人でも多くの方に、仁平氏の作品を見て頂きたいと願っています。