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ある日のなか志まやの出来事、つれづれ

2011年04月の店主日記
[過去の店主日記一覧]
●2011年04月25日(月)

新作全面ロウムラ 2反


透明感のある着物を追い続けて来ました。そのひとつの答えとして、なかむらの西陣お召は僕の答えでした。もう何年もそのお召を追い続け、今でもなか志まやのスタイルになっています。数学的に計算された先練り・先染め・お召緯使いの紋織りの着尺です。

透明感がある着物というのは、ひとつは薄いグレー系の色に代表されました。
濃度が薄くグレイッシュなベージュでもパープルでもそういう表現は可能です。そして、そういった色合いが今でも色褪せることはなく、組み合わせで様々な装いを演出してくれます。

モノトーン以外の濃い色は、もう何年も扱っていなかったような錯覚になるくらい、自分の仕事で登場する回数は少なかったと思います。まして、朱に代表される赤味のある色など。。。

今の時代、深く美しい色というのは、原色に憧れた時代と違い少し複雑になっているように思います。
そういうものを自分なりに、洗練された衣装て表現できればと最近は考えています。
そんな想いをこめた新作の全面ロウムラ着尺です。

生地は、赤城の座繰り糸、経緯真綿 それぞれに紋織りされた白生地。仁平幸春氏により、酸性染料そして草木染とロウで染めたものです。ver5と6になります。白ロウの塩梅で色の深さを醸し出し、まるで焼き物のような表面の趣と、水元も何度も潜った生地はとてもしなやかで、ふんわりと身体に沿う生地に化学変化しています。

なか志まやが考える着物スタイルのひとつを示す、まったく新しい感覚の着尺です。


●2011年04月22日(金)

ロウムラ白着物に月とハートの帯


着物も帯も制作 仁平幸春
帯留めアンティーク てっさい堂
帯揚 草履     さくら

●2011年04月09日(土)

郡上紬の白い帯


こういう白地も織られているのかと。
睦月の横山さんが、郡上の宗廣陽介さんからお借りして来たものをDM用に撮影。

白地の無地感覚の吉野格子九寸名古屋帯・郡上紬
着物は紋お召

5月の展示会では、なるべく新しい感覚のコーディネイトが出来るような提案をしたいと考えています。

そして、故宗廣力三さんの着物(白洲正子さんの本に出ている、そのもの)をはじめ、力三作品が数点出品されます。勿論、お買い上げ頂けます。
なか志まやのラインではない織りの着物ですが、その工芸的な価値に負けないように、帯合わせをして、着手に沿った美しい着姿を作り上げたいものです。




●2011年04月04日(月)

太陽の塔 と 着物

TAROの塔の最終回で、太郎が芸術は呪術だ!と言っていることに共鳴。異論はあるだろうし、深く芸術を知らない自分だからかも知れないけど。着物の袖が残った(長くなり短くなる)、帯の長さが今でもこれだけある理由に通じるものがあるからだ。着物が日本人に残っている理由、、、

それが、単にノスタルジーというだけでなく、ある種の祈りが、着物の形に無意識的に日本人が残していった結果が、この袖であり帯の長さであり、その他のパーツにまで及ぶような気がするからだ。啓蒙的な立場は一切嫌いだけど、着物がいいなと、自分が思う根源はそこにあるように思う。

●2011年04月02日(土)

郡上紬 宗廣陽介さんからお借りした、郡上紬。
DM用に撮影してみた。先の宗廣力三さんの作品と同じく、なか志まや的には今まで扱ってこなかったタイプの着尺なので、多少の戸惑いもあるが、布の力強さをひしひしと感じる。

先日、宗廣力三氏に師事された中野みどりさんの工房にお邪魔して来た。
10年くらい前に一度お会いした以来だ。その時のことを中野さんに覚えて頂いていて、僕は昔を思い出し少し恥ずかしい思いをする。なぜなら、自分は染めも織りも知らない事が多いくせに小生意気な呉服屋として、中野さんの作品を見ていたからだ。

染織には、その方の生き様が顕われていることがある。
僕は、そう云った思想的なことよりも、自分が理想とする、着姿、コーディネイトに使える着物だけを見ていたかもしれない。しかし、今ではそういう着姿を創るためには、色の深さにしても、生地の奥行きにしても、糸から始って最後の仕立てに至るまでの様々な創意工夫の積み重ねが必要なことを学んでいる。

それは、仁平さんの染めものを積極的に取入れようとする、呉服屋としてのスタイルの変化もその一つだ。いままで、勿論、紬作家さんに作品を依頼した事は多いが、その染織の作家さんの生き様にまで、目を配ったていたことは少ないと思う。

さて、この郡上紬、自分ならどういう着姿を作り出すか!
自分が避けていたものを取り込んで、どんな着姿をつくるか!楽しみである。
そして、やはりなか志まやらしいと言われるのが呉服屋冥利なのかもしれない。