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ある日のなか志まやの出来事、つれづれ

2012年03月の店主日記
[過去の店主日記一覧]
●2012年03月28日(水)

上田紬・小山憲市さんの工房へ

小山さんに初めてお会いしたのはもう7〜8年前になるだろうか。今回、初めて小山さんの工房を訪ねて上田市に出向いた。一衣舎の木村先生と共に。
道路のインフラ整備が整っていて、新宿からでも2時間30分で上田市に行ける。案外と近いのだ。

お互い『変わらないですね〜!』と言いながら拝見した小山さんの作品は、初めて拝見した時よりも大きく変わっていた。それはイコール、僕自身の織物に対する考え方もあの時より成長しているはずだ。今日拝見した作品と、そのお話、なにより『糸』の話、、、この7〜8年の間に、一衣舎の木村先生から教わったこと、自分が様々な染織を見て来て感じて来た事、学んだこと、、その一つ一つが、この眼と指先に感じられた時であったと思う。

小山さんの落ち着いたトーンで喋られる(少し名古屋訛りを感じたw)話が、どんどん頭の中に入ってきて、ああ〜そういうことね、、、ああ〜これね、、と物凄い勢いで脳内の引き出しの中を開けていく感覚だった。だから寝不足な帰りの運転のはずが、アドレナリンが出たような状態で全く眠くなく、感覚が鈍ることがなかった。

無理を言って3点、東京に持ち帰った。オーダーしたものは、すぐには手元には来ないのだけど、まずは、この経糸の使いが絶妙なものを選んで、ご来店頂いくお客様にお見せしたいと思い。。。

●2012年03月15日(木)

無難にならない”白”を選ぶには?森田空美の”永く愛せる”この一枚 第4回 和楽より PART 3


着物のアップのページがありますので、組織がよく分かります。
最後にもう少し詳しく、光佳染織さんときもののことを書いておきます。

光佳染織は代島光子さん 横内佳代子さんのお二人でやられている工房です。
お二方とも、本郷孝文さんの処で修行された後、独立されて染織キャリアも
20年以上になられる方です。この綾織の他にも、吉野織、花織、ロートン織、しずはた織などなど、様々着尺や帯を制作されています。

初めて纏った時からその柔らかさというか、身体に沿う織物が光佳染織の特色の一つなのですが、その一つは糸使いにあります。
経て糸 緯糸共に座繰り糸を使用。座繰り糸は自動繰糸に比べて、糸が伸び切っておらず、凹凸もあり、つやのある、かさ高な糸。
座繰でひかれた糸を経用と緯用に合糸して、撚糸しますが、緯用は経のものより本数を多くし、撚りの回数を少なくしてあるようです。ふんわりとした糸ですね。
糸自体にも凹凸があることで、光がそれぞれに反射していることが、複雑な八枚綜絖という綾織りと相まって、光沢感を増幅させているようです。

織る際も、綾織りは平織に比べると緯糸が密に打ち込まれ易いので、布の強度と風合いが、ちょうど良い加減になるように、糸の打ち込みには細心の注意は払われています。甘撚りの糸と打ち込みの強さのバランスで、着物に初めて袖を通したときから身体に馴染む織り方、つまりは織物が身体に沿う時間を短縮していると云えます。そのあたりは師である本郷孝文さんの哲学をそのまま受け継がれた方々です。

銀鼠の糸は矢車の鉄媒染、白茶の糸は渋木で染められてます。
かさのある糸には染料もゆっくりと浸透していくので、表面だけでなく芯までしっかり染まるそうです。草木の色が色褪せないことも目指されていますね。


●2012年03月14日(水)

無難にならない”白”を選ぶには?森田空美の”永く愛せる”この一枚 第4回 和楽より PART 2

洛風林の九寸の名古屋帯は『ウクライナ縫花文』と題された帯。ウクライナ共和国の古裂に題材をとったエキゾチックな帯です。組織は洛風林独特のふくれ地風で締め心地、扱いがとても良い帯になっています。更紗柄の帯とは違う趣きがこの綾織りによく映えて、白+白とは違う味わいになっていますね。
多くの方は、このように柄の帯をコーディネイトされることが多いと思います。
きっと様々な帯を合わせることが可能でしょう。

『納得の白に出会うのは至難のわざ、確かなものを選ばないと、着映えしない無難な装いになりかねません』と森田空美さんが書かれているように、装いのベースになるきものの『布のちから』が必要です。もしかすると『グレートーン』の無地感覚のきものを選ぶ時よりも、難しいかもしれませんね。


●2012年03月13日(火)

無難にならない”白”を選ぶには?森田空美の”永く愛せる”この一枚 第4回 和楽より PART1

和楽の森田空美さんのページは、今年から1枚のきものをじっくりと取り上げる内容になっています。
昨年の暮れにお話を頂いて、森田さんにきものと帯2点を選んで頂きました。
初めてお会いしましたが、雑誌のページでよく拝見するイメージそのままの美しい方でした。

4月号なので、明るめの物をお探しで、今回の光佳染織の綾織着尺を選んで頂きました。帯はなか志まやオリジナルの白無地の袋帯(太切り引き箔、表面にはほんのりと砂子箔)もう一つは、洛風林の名古屋帯です。

『光や帯合わせで印象が変わる。表情豊かな一枚。白の奥深さを堪能できます』

と3ページ目に書いてありますように、この布は豊かな表情をもっています。画像では分かり難いですが、格子の大きさは大小があり、段がついています。八枚綜絖の綾織りという難しい手機を駆使して織り上げられたきものは、草木の染料(矢車と渋木)が放つ柔らかな色合いと、組織が演出する光沢感と相まって、単に白っぽいきものとは言い表せません。今回は、それに白の無地帯を合わせ、つまり白+白という華やか装いを作って頂きました。

●2012年03月12日(月)


本日発売、小学館『和楽』4月号になか志まやの着物と帯が掲載されています。

森田空美の”永く愛せる”この一枚 第四回 のページです。

質感が伝わるように上手に撮影して頂いたようです。

現品はお店にありますので、ご覧になりたい方は、メールにてお問い合わせ下されば助かります。

この後、色々と情報もあげてみたいと思います。