●2008年03月30日(日)
『The 澁澤』2 澁澤龍彦が気になる、または憧れを持つ理由を端的に表現してくれた言葉がある。 「硬く、明るく、冷たいもの」 これは、澁澤龍彦の気質や嗜好を語る上ではずせないタームと思う。たとえばシモン人形の肌質。虹色に輝く甲虫の羽。大理石の卵。ボッス、クラナッハ、モローやスワンベルク等、氏の愛した画家の描く絵の持ち味も当然これと重なる。 また、どれほど取り扱うテーマが「異端」で「暗黒」であっても、筆先から繰り出す文体が粘着質に暗くなることはついに無く、冷徹で硬質で透明な明るさを常に湛えていたように思う。これは晩年に向かってよりいっそう顕著となる。 これこそ、自分が目指す生き方、スタイルの指標のような気がする。
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