●2010年01月13日(水)
仕立て て 15年というタイトルで始る一衣舎さんのブログに一枚の着物が登場するのですが、それは、なか志まやが独立してそろそろ色んな着物を扱えるようになった頃、一つの江戸小紋絵羽に痺れまして、仕入れして、そのまま売るのが嫌になって、仕立て上げて手元においたものです。あのころは、なんでもかんでも一衣舎さんに仕立てをお願いしていた頃で、運よくチーフのSさんに縫っていただいたものです。 記事の内容は、一衣舎さんのブログでお読みください! http://www.ichieya.jp/tdiary/ 狂いのない仕立てとは、不可能なことと思うのですが、それが現実になったような奇跡の着物です。この娘は本当に運がいい。一衣舎さんの丁寧な仕立ての技術によるものでしょう。それと色んな意味での好条件もあったかもしれません。 今日、件の紬を検証して頂く為に来店して頂き、それとともに帰って参りました。 出かけた時よりも綺麗になって! 仕立てのことで、失敗することはいまでもあります。全てを一衣舎さんに頼んでいる訳でもないですし、他の有名呉服店と同じ仕立て屋に僕も出すのですが(なか志まやは、海外縫製は一切しません!今後も決してすることはありません!)歴然とした差を感じます。一枚一枚の着物をどう造り上げていかなければならないか!呉服屋がさらに集中しなければならない時代に、なか志まやもさらなる経営努力をして、信頼の置ける仕立て技術の確保を考えていかなければなりません。 こういう風に仕立て上がって欲しいということを、どの位の情報量をもって仕立て屋に伝えるのかという事と(それは、着る人をより仕立て屋にイメージさせること) そして、やはり生地を見極めて、どういう下準備でどのように縫うかなのだと思います。しかし呉服屋は、ただ信じて、仕立て屋に任せるしかありませんが・・・ 最近のミス・・・とても大きな男性の着物の共衿丈寸法が長過ぎ・・・男前腰揚げ寸法が長過ぎ・・・ すごく時間のない中で採寸したのですが、大きいだろうという自分の思い込みが、実際の身体を眼にしながら見込み違いでした。あとお腹の出方でどこに帯を収めるか! 袴を締めるときと、着流しの時との帯の位置のバランスをうまく出せなかったようです。なか志まやの採寸ミスです。 あとは・・・女物の羽織の裁断の指示が甘かったです、当然キャンセルにしていただきました。(一衣舎さんの仕立てではありません) こんなデフレな時代に、いいものを作って頂くお客様には、とにかく一つ一ついいものをお届けしたいと考えています。それは独立して、初めて一枚の着物が売れて嬉しかった時と変わらないつもりでいるのですが、今ではどこか自分の甘さも出て来ている証拠なのだと、このミスをみて思います。 呉服屋として反省いたします。 呉服屋を独りで始めた頃、留袖の仕立てだけを頼まれて一衣舎さんに仕立てして頂いて納めた事があります。数日後、そのお客様から、見事な仕立てに母が涙を流して喜びました。ありがとうございました!と電話を受け取りました。いえいえと、自分で売った留袖ではないので、たいして感慨もなかったのですが、どこかず〜〜と頭の片隅にその時のことが残っています。 どんなにいい物を売っても、よいコーディネイトでも最後は、ここなのです。 ハンガーに吊るして眺め、その美しさに涙するお客様がいた!そういうことを学んだはずなのに、まだまだなか志まやは甘い所があるのだと反省いたします。 自分の手元にあるこの片身替わりの着物は、柄も美しく僕の好みで、これには最高の帯合せ、一衣一帯にしてあり、最高の仕立てが施されている・・・幸せ者なのだと思います。なか志まやはこういう着物をもっともっと創っていかなければならないと、この一衣舎さんのブログを読みながら思いました。
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