●2012年10月30日(火)
染色家仁平幸春氏の工房・Fogliaにはロウムラという技法があり、それをなか志まやが用意した紋紬に全面ロウムラして染めて貰う事で産まれた着尺は、中島が当初想い描いていた阪口鶴代氏の岩絵の具の日本画の質感も遥かに凌ぎ、まるで釉薬変化の面白みを持った焼き物のようなであったり、経年した遺跡の壁のようであったりして、全くもって新しい無地感覚の着物を創造してくれました。(今は8作目 NO.8) しかし全面ロウムラには多くの労力が必要であり、脱ロウして初めて様子が分かるので、染めが浅いとみればもう一度14工程をせねばならないと手間と様々なリスクも生じます。 そこで、生地の味を増幅する新たな手段として仁平氏が開発したのが『トラ目染め』という技法です。昨年に市松地紋の絹織物のやって頂いて様子が少し分かったので、今回は2反、平織りの諸紬でやってもらいました。これはその一反。 紬の織りよる緯糸の濃淡ではなく、染めによる微妙なニュアンスをつけて奥行きのある生地として染まりました。光量の足らない夜のなか志まやで旧石器デジカメのよる撮影の為、なかなか色味の表情を伝えられませんが;;;今後もよい生地を見つけて仁平さんの染めていって貰うつもりです。 ちなみに、もう一反は白緑の地色を持つ諸紬の着尺をベースにして、グレー濃淡、緑濃淡をコントラストをつけたもので、初見のとき、以前見た郡上紬かと思える程、布の力を感じる染着尺になっています。 それと、この染色技法は布の再生ということを成し遂げていると考えています。
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