●2009年10月06日(火)
ジャージとスーツ
『ココ アヴァン シャネル』の映画をみて、英国人の恋人が持っていたジャージ素材のポロシャツ?に凄く惹かれていたシーンがあったけれど、僕はとても頷けた。 ラストのシーン、いまも変わらないであろう白のシャネルスーツを着たココは,あきらかに今までの女性とは違う武器を手に入れた象徴のように見えた。 あと、黒の生地をカットするシーンはとても美しい。 この映画を観てようやく、シャネル=泉ピン子というとんでもない呪縛から、ようやく解き放たれて、まだまだ全然このブランドのことを知らないけれど、いいメゾンなんだと確信した。創業者自身は壮絶な人生を送っていて、今、公開しているもうひとつのシャネルの映画も見てみようかと思うが、高齢になる皇帝ジョルジオ・アルマーニが、どう次のデザイナーを建てるのか、気になってしまった。 アルマーニが好きな一番の理由は、服のラインの出し方が、自分の個性に合うと思うからだ。ナチュラルショルダーで上半身は身体に沿っていて、パンツはゆったりしている、あの定番ともいえるラインが好きで、これが変わってしまうと悲しい。 スーツよりもジャージ素材のものを日常着とするので、手の届くエンポリオあたりで 毎年一つ買っているけど、洗濯で黒が色褪せたジャージはさすがに呉服屋として如何なものかと思う。洋服も気に入ったものを長く着るので、洗い張りという技術がないと生地の故障を修正出来ず、それと、どうしても今の時代には着れないラインだと、どこかでその洋服ともさよならをしなければならないので、今あるスーツもそろそろ限界が着ているのかと思う。 シャネルスーツのあの形は、もう何年あの形なのだろ。 着物の形は、完成されていて、たぶん僕が死ぬ頃でも変わっていないだろうと思う。 あれは着物と同じくらい、完成された女性のスーツスタイルなのだろうか。 女性を、様々な昔の呪縛から解放させたのがシャネルの服だと,どこかで読んだけれど、現代の着物を愛する人の多くはその逆で、まず多くの縛りごと、つまり古典を学ぼうとする入り方が多い。 着物という衣装の沢山の不自由さを知って、その中でどのように自由でいられるかを 自分に課しているように思う。世界に誇れる極めて特出した日本人の感性が、ここに顕われていると考えます。
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