●2009年06月23日(火)
NYへ旅立つ浴衣 に関する余談
この柄は、Rumi Rock芝崎さんと出会って初めて、なか志まやの誂え浴衣として、確か3柄くらい作ったデザインのものです。このときに例の『月とドクロ』という浴衣も作りました。型を預けておいた人形町の染め屋が勝手に染めて流通させたり、コピーまで出回った柄です。60人乗りの屋形船に60人乗せて、それもやくざな坊主から一流のヘアメイク、ディレクター、女優男優など老若男女入り交じって、それは凄まじい屋形船だったように記憶します・・・15年くらい前か。 『竹に大小あられ』というこの浴衣、いまのRumi Rockの商品と比べると確かに明らかに初期の作品とみえます。型の線と染めの立体感のなさというか、もしこれを今一度、彫り直して今の完成度の高さで染めるなら、また違うものになるでしょう。 大胆に配した柄なのですが、仕立て上がりを見て、すっきりとした江戸好みといいますか、これはこれで単純でとてもいいデザインであり、染めであります。 昨年よりご贔屓にしていただいてるニューヨーカーの男性に、麻の着物の下に、重ね着して浴衣を着ることを提案しまして、一衣舎さんの水洗い仕様で丁寧に仕立ててもらいました。肌着代わりとして汗を吸い、尚かつ無地感覚の麻の着物の下に重ね着することで、大胆な浴衣の柄を効果的に見せる工夫です。僕も夏はほとんど、このスタイルで、長襦袢を着ないで浴衣を下に重ね着しています。コウモリ柄とクモの巣と十字架という芝崎初期作品の浴衣を片身替わりに仕立たものです。 一衣舎さんのアトリエで、ニューヨークの洗濯機はドラム式だよね!そうなると 多少の縮みはあるね!とか、洗った後、こういう風にしてくれるといいなーとか 話してるのが妙におかしくて、帰って自分の浴衣と小千谷ちぢみを、洗濯機に突っ込んで無造作に水洗い&脱水してみました。 浴衣は着込んできたので寸法は変わらず、ちぢみは一衣舎水洗い仕様なので、これまた寸法は変わらず、洗い立ての清々しい感じが心地よいです。 自分の着物ですし、多少どうなろうと構わないで無造作にしてみましたが、アイロンもかけずに手で伸ばした状態でもいい感じで着れます。 夏はやはり、水洗いだよな〜! ニューヨークの彼にも、この感覚を味わってもらいたいものです。 *水洗い出来ることにつきまして、僕もあのお召でチャレンジしてみたり、出来るものと出来ないものなど、少しずつですが経験値を増やしています。が、やはりまだまだのようです。緯糸の話も今日で少し分かったくらいで、他の呉服屋よりは多いと思いますが、まだまだ経験値は少なく、理解も浅いです。自分でやらない作業をお客様に説明する責任は大きいので、仕立て屋さんの助けがないと何も進まないことがよく分かります。 お召の水洗い仕様か〜本来ならお召糸には矛盾することだよな〜でも出来る着尺が時々あるのは、どうしてなんだろう・・・なんとなく予想はつくのだけれど、本当はお召には求める必要のない要素なんだろな。でも少しでもそれに近づけば、何かのトラブルのとき、大きなメリットになるよな〜ふむ〜・・・ 以下、余談・・・ だいたいお召は褻着じゃないしね、、、でも褻着は洗えないといけない だって昔から褻着は、日々の生活に息衝いて来た着物だから 汗にまみれ、皺になり、臭いを吸う着物だからね そこに褻着としても美しさがあるんだよね
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