●2012年05月18日(金)
愚浄山房展(5/24〜28)の主催者であるきものギャラリー睦月さんが、加賀市の山中漆器、たに屋の小谷口剛さんを訪問してくれたようです。小谷口さんは、搬入日と初日(24日・木】に会場に居て下さいます。 小谷口 剛さんの漆器が、他の産地と大きく違う処をごく簡単に纏めると 『縦木取りである 燻煙乾燥させること』 これによって長年使用しても割れたり変形したりしない強固な漆器の土台が出来る。 世に出ている殆どの漆は生産性を上げる為に溶剤を混ぜてある。これは一切表示されてないが、石油系ものが製造過程で使われているのに反し、小谷口さんの漆器は、、 『いっさいまぜものなし・すべて国産の漆であること』 そして、朱の漆は、小谷口さん以外のものは買えなくなります。 なぜなら、現在使われている朱の漆の多くは、カドミニウムが含まれているそうです。漆器として製品になった段階で、そのことがどの程度人体に影響するか分かりませんが、植物性染料を使用している小谷口さんの漆器を必ず選びたくなりますね。 そして、彼の哲学。。。 DMにも、ここでも何度か書かせて頂いたけど、 『私は自分が作る漆器を「百年使える品質とデザイン」と謳っています。これは謳っていると同時に、慣れや惰性といった何やかやを自分に課してもいるわけです。で、これは誇張でもなんでもないですし、畢生の宮大工西岡棟梁は、木材は千年もつと言っています。言い換えれば、百年など当然でもあるのです。』 また、彼のデザインに関するある言葉、、 『曲線の組み合せ、複合曲線は美しくない。関数曲線は美しい。美と自然美は全くの別物だけれど、自然の法則に従って描いたラインは最上の曲線になる。私が作る漆器の多くは、断面図が関数曲線です。』 そして、ある漆器の飯椀についての言葉、、、 『飯椀。国産水目桜を燻煙乾燥、能登の地の粉、京都の砥の粉、漆は三割国産、麻布を貼って補強。重心が低く高台は広めで安定感を出し(断面図を見れば納得なのですが……)、雑炊や雑煮もいける容量の大きさです。』 漆器なんて、お正月の時とか、料理屋とかでしか目にしない、、と言われてる方、また高価で扱い難いと思ってしまってる方、、そんな方には、是非、小谷口、剛氏の 『普段使いの漆器』を手にとって、使って頂きたいですね。 *愚浄山房展では、椀や杯などの他に、棗(なつめ)などお茶で使われる晴れの漆器も出品されます。
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