●2009年05月28日(木)
誂え 少し前に、繊研新聞社の季刊『きもの』の編集者の方から取材を受けて、個々のお客様にどれくらいの比率で別誂えを作るのか?という問いが主な内容だった。編集部的には 何パーセントくらいだ!とか統計的なことを望まれていたのだと思うが、なか志まやに そういう経営を把握した数値を求めるのは、少々見込み違いで申し訳ないと思いながら、自分なりの意見を言ったような気がする。 確かに、染めに関しては誂えで染めることが多いかもしれない。 色留袖は、問屋さん、染め元も在庫を抱えているところが少なく、個性的な着物をお求めのお客様には、あまりに平凡な柄が多くて、物足りないので誂えで作る比率は高い(というか、この店レベルが扱う枚数なら、最近は100%別誂えとなる) 訪問着は最近はほとんどない、色無地もないな〜 お召なら経糸の様子をみながら、別誂えをする。 染めの帯なら、あまり仕入れものは売らないが、誂え比率はかなり高い。 江戸小紋も比率は高い。 織りのものは、これからますます増えていくだろう。 こうした誂えの中で、抜群に誂え比率が高いのが、羽裏だ。 いままで、多くのユニークな羽裏、額裏を染めてきた。 ここの世界は縦横無尽で、とても自由で楽しい。 『エッフェル塔』『昭和憧憬』『朔縛・望縛』『オーガスタ』『HONDA』『サラス』『夏木マリ』『美男子ヌード』『バイク』『裏干支』などなど思い出すと切りがない。 ミニマムな着物を信条として、色数を押さえてクールな印象を持つ着物を創りながら ここだけは、はちゃめちゃな自由人に成れる気がする。そして、同じく浴衣の世界もとても自由だ。自分が美しいと想う世界を誰に気兼ねする事なく自由に表現出来る。 こういうことが出来るのは、すべてデザイナーという人が居てくれるお陰で、 僕はただ発想をどんどん涌かせて、投げ掛けて、それをリアルにしてくれるのが デザイナーという人で、誂えをするには欠かせない存在である。 *画像は、今染めている、別誂え額裏のラフ案。
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