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店主中島の、習い事など趣味のページです。

2014年04月のよく遊べ
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●2014年04月16日(水)

白い着物と帯

着物は全面ロウムラ(経緯真綿紋紬)dye works Foglia製
帯は、織楽浅野

お客様にご提案して頂いた帯に合わせて、着物を制作しました。
なか志まやの定番で染めています全面ロウムラという着物です。

白とベージュ、ほのかにグレー味を感じる色合いは、『晴れと褻』の両方を帯次第で自在に変化させてくれる、ある種、万能な色合いだと思います。
もっと箔が強いような袋帯でも、もっとざっくりとした紬の帯でも、この着物は受け入れてくれます。

ここでも幾度も書いたかもしれませんが、この着物はまるで白いギャラリー空間のようです。その日その月の企画で、いろんな絵画や書、あるときは器であったり、ある時は骨董であったり、様々なものを展示しても、それを受け入れて最大限によく見せる空間のような役割をしているのが、この全面ロウムラという着物の大きな特徴だと考えています。

●2014年04月14日(月)

森田空美先生の着付け・スタイリングは勿論ですが、カメラマンさんの『みなもと忠之』さんの着物と背景の構図の取り方、質感の伝え方が本当に素晴らしく感服しました。これはこのページの構成全体をまとめられている田中敦子さんの眼であるのでしょう。素晴らしいセンスです。

今回の企画、美術館へお出かけというなかで、西洋のアンティークレース文様を選んで、なおかつ仏像の前にこの着物と帯で佇む姿は、本文にある『美の空間に溶け込む凛とした装い』の一文で見事に表現されています。

仁平さんから以前に聞きましたが、当時のレース文様がインド更紗に使われたり、インド更紗の文様が当時のレース柄に転用されたりしていたそうです。
仏教に関係する布地、古代のインド更紗は世界の様々な文様に多大な影響を及ぼしたと思いますが、そのインド更紗もレース文様に影響を受けていたんですね。

その興味深い文様の歴史が、この一枚の着物姿を写した画像に含まれていると思うと、着物や帯が活きている!と嬉しくなります。そんな風な眼で見始めると、仏像の背景の文様とレースの文様が共鳴して何かを語っているようです。

さらに、今回は後姿で撮影してあります。
和楽の撮影においては今までも全て本仕立てでお納めしております。仏像を展示しているグレーの台座のシャープな線、光が差し込む部分と陰になっている面の対比。それがこのグレーの着物の背縫い線の美しさ、更紗の柄が大きく踊る太鼓面に衿のラインの丸み、そして垂れ下に伸びるまっすぐな線、すべて呼応して1つの画になっています。

こんな風に紙面を見ている読者はいないと思いますが、わたしがなか志まやの着物と帯だからという贔屓目を差し引いても、この構図、光の加減は美しいです。着物の縞柄が出ないだろうな〜という不安はその通りになりましたが、そんなことはどうでも良い程、素敵な紙面です。