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店主中島の、習い事など趣味のページです。

2009年04月のよく遊べ
[過去のよく遊べ一覧]
●2009年04月28日(火)

今年も染めてます 『縛り』(紐とも呼ばれてますが・・・)

シンプルな線の表現が、ミニマムなものを嗜好するなか志まやに
最高の浴衣デザインと今でも感じさせます。
キモノスイッチのサイトでは、デザイン意向は伏せてくれとなってますが
最初から伏せていないので、もう一度書きますが、これは男と女の事を
デザインしたものです。このデザインの意向を言い得て妙な小説?の
一節を見つけましたので書いておきます。

  『紐のつながり』

 いつの頃からか
 男は女の寝巻きをつかんで
 眠るようになった
 女にではなく
 この世に逃げられまいというように

 この世にはりついた女は
 自信の過剰のように
 紐にゆとりをつくって
 男に手渡す

 ゆとりが長ければ
 女の体には自由が残り
 男の指にあたたかさが伝わらない

 ゆとりが短ければ
 紐は女の息吹とともに呼吸して
 あたたかいが
 女の寝返りひとつで
 つながりは切れる

 紐のつながりがいつまで続くか
 男も女も考えない
 女は気づかずして考えず
 男は考えまいとして考えない

 生きて在る限り
 目に見えぬ紐のつながり
 男と女の間の
 長いゆとり 短いゆとり
 この世との
 長いゆとり 短いゆとり

     城山三郎



●2009年04月09日(木)

  黒は古きこころ也

あらゆる色を内包して立ち上がる黒=玄は利休にとって特別な色。

それは単なる色彩を超え、あらゆるイメージの始点であり終点。

古き心とはすなわち、村田珠光以来の侘び茶の思想のこと。

利休は黒こそが、その想いを表現しうると考えた。


そか〜いままで、黒と利休は僕の中でなんら繋がりは無かったけれど
この樂茶碗のしかり、大尻張釜しかり、棗しかり
利休が唱えた『侘び茶』のシンボルには黒いものが多く
その精神を具現化した、いわゆる利休好みというもに、黒は多い。

僕の洋服は90%黒無地で、下着からコートに至まで、黒一色だ。
この嗜好は、80年代登場したコムデギャルソンの影響かと思われるが
もしかすると、日本人が他の民族よりも、黒を好む、黒の美しさを
見抜いた、そういう感性を育んでこれたのは、利休の美意識が
いまでも脈々と受け継がれているのかもしれないと想像する。

利休が創り上げた世界観は、日本のアート、デザイン、文化を語る時に
茶の湯の本質も知らないで、その表層を利用されることが多く
この浴衣の始まりも、狭い空間をいかに広く見せるか!ということを
考えている内に、おきまりのように利休の茶室にたどり着いたという
どこにでもよくあるような話だ。

プロダクトから空間、さらにはグラフィックやイベント・プロデュース
にいたるまで、茶の湯を通して、利休はあらゆる分野に才能を発揮し
すぐれたデザインをもたらした。そして、信長、秀吉とともに
激動の安土桃山時代をプロデュースしたといっても過言ないと思う。
その美意識は、いまでも大きな影響力をもっていて、それを凌駕する
ものは誰一人として現れてない。そして、その彼が、黒というのだ。


ん〜〜黒は決まっている。浴衣の地色、それにブレはないのだけれど
黒一色だと柄がでないので、もう一色、色を決めなくてはいけない。
短絡的には、あの色しかないのだけれど、ふむ〜〜〜
もう決めなくてはいけないのに、まだ決まらない・・もうすぐ金曜日だ

追記

そういえば、着物に光沢感を求めるきっかけの一つは、黒く光る
お召を見てからだった思う。黒で艶がある光沢感。
喪服姿の女性が美しいなどと、どこかの作家みたいなこと・・・
にも当然賛同するけれど   (勿論です)
縮緬や綸子じゃない、先染めで光る布・・・
黒く光る美しさに見せられたのだと思う



●2009年04月04日(土)

  2009 なか志まやオリジナル浴衣 『利休』(仮題)
        〜題名は大幅に変更します〜


何故に利休なのか?今回はあまり深く考えないで、なか志まやも芝ちゃんも図案に取組んでいます。ところがデザインの大枠はすぐに決まったのに、細かいところで色々変更をしています。芝ちゃんにも何通りも修正を作ってもらい申し訳ない・・・

 こだわりを持って物を見るから、いい物が生まれてくると思うのですが、時々運にまかせて来たようにも思います。決めきれないで、デザイナーに負担をかけないタイプだと思うのですが、案外、出来上がりまでウジウジするものです。
自分の処でオリジナルを持ちたいということは、自分の個性を表現したいと同義と考えていて、売れ筋とかとは違うものです。基本的に飽きのこない、または不変的な
テーマとかを取り上げる、いわばメジャー的な考えを嗜好するタイプなので、浴衣のデザインとして売れ筋ではないけれど、興味の引くその時代を感じさせるものがなか志まや的なオリジナル浴衣だと思います。

『何度でも同じテーマに取組んでもいいとおもうよ!』と言われて、
若冲も澁澤も、もう一度取組んでみたい!
『若冲part2』『澁澤part2』があってもいいし、当然この利休の2があっていい。

そう思うと、これから何年呉服屋をやっていけるか分かりませんが、こうして作ってもらう図案は自分の歴史の一部を見るようで楽しいです。生涯現役で、芝ちゃんも生きていてくれるなら、いくつの図案が出来上がるのか・・・

還暦にはそういう企画展もいいかな〜
そう遠くない話だと思えるのは、少し複雑な気持ちだな〜