●2012年03月16日(金)
二つの月』の帯。月の帯、銀彩シリーズのNO.3、仁平幸春 作。 仁平さんと交友のある松虫寺に樹齢600年の椎の樹があります。土の上に落ちたその椎の樹皮を3日間ほどかけて煎じ、それを煮詰めて染料にしています。この帯の地色がその『椎の樹』から染めたものです。 タイトルは『二つの月』。 お太鼓画像を見て頂くとよく分かるのですが、満月と三日月が並んでいますし、帯の前にも、このように二つの月が見えるデザインです。銀彩は平林隼人さんと仁平幸春さんの共同作業によるものです。 仁平さんの仕事の特長の一つにロウによる立体的な表現方法がありますが、この『銀彩の月』シリーズは、本来、箔に求められる手法ではなく、仁平さんのロウ表現に沿って、厚みがあること、重層的なこと、生地味があること、ロウの仕事のような大胆さと繊細さがあることが大きな特長であり、こういう箔の使い方は、他の染織にはまず見られません。 そして、二つの月の意味、、、これはもう色々イマジネーションを膨らませてください。 600年の椎の樹の色と相まって、味わいのある帯となりました。
*画像のきもの 西陣お召7段絵羽・ドット紋織
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