●2014年01月10日(金)
新作帯『コプト裂2・ぶどうの葉紋/タッサー紬地・全面ロウムラ』 制作・dye works Foglia 仁平幸春 本歌のコプト裂とは 3〜4世紀 コプト初期 ローマ帝国属領時代 (素材)経=亜麻 緯=亜麻とウール (技法)綴織に縫い取り線 『ぶどうの文様は、ギリシャ多神教の酒神ディオニュソス信奉の象徴であったが、いつの頃からか当時新興し、その郷里、進学が成立過程にあったキリスト教の象徴にもなったというのが通説である。』 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 キリスト教も最初は十字架ではなく、魚と碇がトレードマークだった時代もあったり、成立過程でいろいろなスタイルがあったようです。 前柄は同じ柄を使いましたが、縦方向の柄には、ぶどうの実を配置して、東西で変えてみました。 世の中にコプト写しのものはそれなりの数がありますが、フォリアでコプトを題材にする場合は、更紗などと同じく「本歌が持つ特質」を良く捉えた上で、和様にもなじむような調整をします。 例えば、今回使ったコプト裂の時代は、古代の力に満ちた、呪術的な雰囲気があります。 しかし、そのまま和装に持って来てしまっては「キワモノ的」になってしまい、面白い効果、ということを超えません。 そこで、元々のコプトが持つ、グズグズした形の乱れた味わい、朴訥としながら力強い味わい、そういうものを残しながら、形や線を整理し、糸目友禅とろうけつ染の技法に変換出来る「線」をつくって行きます。 形や色を和様にする、さらに日本の染色技法によっても和様にする、本質をいじらず、その二つのフィルターを通したことにより、大昔のコプト裂が、現代の和装として生き返るわけです。 (仁平幸春氏・談話より)
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