●2009年11月25日(水)
無駄な?紋織・縞お召
なか志まやオリジナル配色、縞七段グラデーションが出来上がって来た!この程度の画像だとよく分からないかもしれないけれど、お召緯を同色で、紋の違い、つまり縞の太さを変えてみたのだ。 通常は緯糸を色を変えて、紋の違いを際出させる方が当たり前の考え方なのだが、あえて同色で織ってみた。画像上の方が、裾の少し太めの縞で画像下は、江戸小紋の万筋並に細い縞が織り出されている。裾から肩山にかけて七段階に縞を細く織り上げて行くのが新作の絵羽お召だ。10月の時点で3柄にプラス2柄、オリジナル配色として加えてみた。 荷を開けた時には、地味過ぎるというか、自分のねらった効果が顕われていないのかと心配になった。織元の配慮で若干の濃淡を付けた緯糸を使った方が、今まで通りで完成されてよく見えたからだ。 衣桁に掛けて、その裏のパソコンのある机からなにげに、このオリジナル配色の衿のあたりを見て、驚いた! なんともいえず、滑りとした艶があるのだ。 肩から6寸5分強の万筋以上に細く織り上げられた縞が、地味な色を別なものに見せている。もう一度、衣桁に掛かった着物をじっくりと眺めてみると、確かに光の反射で太さの違う縞が微妙に浮き沈みして、なんとも深みのある色合いに見える。 帯などは、特に立ててみよ!というのが鉄則だし、今まで扱って来たお召は当然そういう特性があるのは十分に承知していたけれど、同色の緯(ぬき)を使い、紋で差をつけるという試みは、瞬時に伝わるものではないけれど、じわじわとその妙を感じられる織物になったと思う。 無駄に思えた・・・でも今は、なんとも味わいを感じる。 画像よりも落ち着いた地色なので、どんな着手の方がいらっしゃるか想像がつかない。白髪の女性・・・そういうイメージもある。 男性的な着物でもある。男ものといっても不思議はない。 かっこよさというより、落ち着きがあるのだ。一見は硬さを感じる質感なのだけれど 眺めていくと、じわじわ柔らかく溶け出していく、その一歩手前で留まる。 そういう着物が織り上がりました。
追記:眺めていると、ほんのすこし赤味も感じる色なのです。黄色いライティングの せいかなとも思うのですが、、、そういえば、京都の骨董屋で、やたら気になった錫(すず)の器の質感に近いのかもと思い並べて見ましたが・・・ん〜〜すこし違う気もします。ただ硬質な冷たさよりも、柔らかなものです。
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